「車の中が一番安心…」とは、ゲイリー・ニューマンのヒット曲「Cars」の歌詞に登場するフレーズです。この一節には、多くの人々が車を運転する際に感じる、ある種の閉鎖空間における安心感が表現されています。しかし最近では、自動車と外の世界をつなぐ「コネクテッド化」が急速に進んでいます。以前は高級車限定の搭載技術が、大衆車を含め、多くの自動車メーカーの幅広いモデルで利用できるようになっているのです。例えば、Bluetoothによるスマートフォンとの接続、GPSナビゲーション、4G Wi-Fiホットスポット、衝突回避システム、遠隔診断などの機能が挙げられます。自動車の「走るデータ・ネットワーク」化が急速に進んでいると言ってもいいでしょう。

調査会社のGartnerでは、データ接続機能を搭載する自動車(通信モジュール内蔵型、またはモバイル・デバイス接続型)の製造は、2016年中に1,240万台に達し、2020年には6,100万台にまで増加すると予測しています。3年後には全世界における出荷台数の7割がネットワークと結ばれることになるのです。コネクテッド化は、自動車の制御システムにも及んでいます。今日の自動車は、普及価格帯のモデルでも、数百万行のコードからなる複数の電子制御装置を搭載し、エンジン管理からブレーキ操作、ハンドル操作、AVシステムに至るまで、自動車のあらゆる側面を制御しています。しかし、電子制御のコネクテッド・カー開発が勢いを増す一方、後回しにされてきたのがセキュリティ問題です。

この数年間、セキュリティ研究者は、コネクテッド・カーがリモートからハッキングおよび制御可能であることを実証するデモを繰り返し実施してきました。その代表例が、2015年、2人のホワイトハット・ハッカーによって実施された、「ジープ・チェロキー」を遠隔制御するデモです。このデモがきっかけで、製造元のクライスラーは、チェロキー140万台のリコールを余儀なくされました。自動車に対する実際のサイバー攻撃はまだ発生していないものの、その潜在的なリスクは現実の脅威となっています。米連邦捜査局(FBI)、運輸省、国家道路交通安全局は、コネクテッド・カーの危険性について警鐘を鳴らす文書を発表し、ブレーキやハンドルの無効化、エンジンの停止、その他車載システムの操作などがハッカーにより行われる可能性があると指摘しています。この文書からの抜粋です。「コネクテッド・カーは走るエンドポイントと化しているにもかかわらず、無防備な状態が続いている。コネクテッド・カーの保護が難しいのは、コンピュータとは異なる侵入経路を持ち、しかも移動するからだ。コネクテッド・カーは『動く城』に例えることができる。入口がたくさんあるのに加え、移動するとあっては、防御も一筋縄ではいかない」

このような状況を受け、チェック・ポイント、HDBaseT Alliance、そしてValensの3者は、複雑さを増すこの課題に対処するため、コネクテッド・カーを保護する最良のソリューションの開発に向けて協働することを決定しました。チェック・ポイントは本日、自動車向けサイバー・セキュリティの業界標準の策定と、次世代コネクテッド・カー向けセキュリティ・ソリューションの共同開発を目的とする、HDBaseT Allianceのサイバー・セキュリティ・ワーキング・グループへの参加を発表しています。

チェック・ポイントは、サイバー・セキュリティ・ワーキング・グループにおいて主導的な役割を果たし、HDBaseTの開発元であり、HDBaseT Allianceの設立者であるValensは、車載コネクティビティのセキュリティ強化に向けた今回の協働体制において、中心的な役割を担います。世界最大手の自動車向けサイバー・セキュリティ企業であるArgus Cyber SecurityもHDBaseT Allianceに加わり、さらに先陣を切ってサイバー・セキュリティ・ワーキング・グループに参加します。

このワーキング・グループは今後、コネクテッド・カーを保護するネットワーク構成および隔離、ファイアウォール設定、セキュリティ・レベルの順位付け、外部通信およびサードパーティ・ソリューションの保護といった課題に取り組むことになります。

車載コネクティビティは進化し続け、新たなテクノロジーが次々登場しています。私たちは、これらがもたらす深刻なサイバー・セキュリティ・リスクに対処していかなければなりません。コネクテッド・カーのためのセキュリティは、もはやオプション機能ではなく、ドライバーをはじめ、すべての道路利用者の命を守るための必需品です。チェック・ポイントは、HDBaseT Allianceへの参加を通じて、自動車業界を将来にわたって保護するための効果的なセキュリティ・ソリューションの設計を促進します。この取り組みを通じて、ハッカーの進化を超える速さでセキュリティを進化させ、脅威の一歩先を行く安全な自動車の実現に寄与して参ります。