IP アドレスの回収・再利用
DNS 名と IP アドレスの管理に日々追われる中、つい忘れてしまいがちなのは、インターネットはまだ生まれたばかりの発明であり、現在進行形の歴史であるということです。IANA
が最近実施した、一部の古いネットワークに使用されていた IP アドレスを解放して割り当て直すという取り組みは、この歴史に新たな1ページを書き加えることとなりました。
数か月をかけて29の組織の所在を突き止め、それら組織の同意を得て IP アドレスを回収した結果、現在のインターネットを構成している256の IP アドレス・ブロックのうちの1つを解放することができたのです。
解放された「/8」ブロックは、256あるブロックのうちの15番目のブロックです。このブロックは、公衆データ網のために割り当てられていたもので、1991年6月、IPv4 ネットワークを ITU の X.25 ネットワークに接続するために確保されました。
この意味で14.0.0.0/8ブロックは、インターネットの歴史の一部であると言えます。X.25 プロトコルは、新しいパケット交換技術を利用して信頼性の高いデジタル・ネットワークを構築しようとする最初の試みの1つです。X.25 プロトコルは、ITU が強力に推し進めていた OSI モデルに先行するプロトコルでしたが、その OSI モデルも、やがて現在のインターネットの基盤となっている TCP/IP モデルに取って代わられることになります。
割り当て先組織の所在を突き止める
X.25 は現在も数カ国で利用されてはいるものの、その IP アドレス・ブロックはもはや不要になっているため、IANA
は、1991年以降に同ブロックの IP アドレスを割り当てられたすべての組織に対し、アドレスの返還を依頼することにしました。これら組織の連絡先はすでに変更されていたり、場合によっては連絡先が登録されていなかったりすることもありましたが、技術委員会が調査を続けた結果、使用中となっていた984のアドレスを割り当てられたすべての組織の所在を突き止めることができました。8月末の時点では、最後の組織が残り1つのアドレスの使用状況を調査している段階となっています。
IANA では、2007年1月から7月までの間に、新たに9個の/8ブロックを地域インターネット・レジストリ(各地域の組織や企業に IP アドレスを割り当てるレジストリ)に割り当てました。ブロック14およびこれに含まれる1,600万の IPv4 アドレスは、今後数か月のうちに利用可能となる予定で、これによりまだ割り当てられていないアドレスのプールに残るブロックは47個になります。これはつまり、インターネットの成長がこのペースで続くのであれば、今回解放された IP アドレスはおよそ1か月分の成長を支えられるに過ぎないということです。今回のような IP アドレスを回収・再利用する取り組みが、今後再び行われることはおそらくありません。IANA の計算では、アドレスの再利用は1つにつき6分という時間を要しています。1,600万の IP アドレスが含まれる1つのブロックで使用されているアドレスが1,000未満であればそれほど大きな問題にはなりませんが、アドレスがインターネット全体で広く利用されている場合、再利用の手間は桁違いに大きくなります。
IP アドレスの将来
IPv4 アドレスの枯渇に対する最良の解決策は、言うまでもなく IPv6 ネットワークに移行することです。これまでに割り当てられたIPv6
アドレスは空間全体の0.1パーセントに過ぎず、そのうち実際に使用されているのはごく一部に留まっています。IPv6
のアドレス空間は、IPv4 よりもはるかに広大です。例えば、IPv4 の全アドレスが iPod にちょうど収まるとすると、IPv6
の全アドレスを収めるには地球ほどの大きさの入れ物が必要になります。今すぐ IPv6 に移行すれば、アドレス再利用のための取り組みをこれ以上行わずに済むでしょう。
*出典: ICANN Monthly Magazine電子メールニュースレター(9月10日付)